鬼火 

| コメント(0) | トラックバック(0)
 ある村の話。ある夜、鬼火が一つでた。翌日、2つに増えた。更に翌日、5つに増えた。不規則に増殖を繰り返して、135までに増えた。村の若者が鬼火の場所に行った。村からみたらそこだけ鬼火が消えていた。村人は手分けして鬼火の場所へ行った。その夜、泥棒が全てを持っていった。
 ある村の話。隣村に鬼火が出たあと、泥棒が出た。その村にも、鬼火が点った。人々は戸締りを固くした。鬼火は増えた。益々戸締りに気をつけた。ある夜、火事が起きて全戸焼けた。
 ある村の話。近隣で鬼火が出た。泥棒が出て、火事が起きた。その村にも鬼火が出た。火の始末と戸締りに気をつけ、お祓いもした。鬼火は増えた。一人また一人とその村から人は去っていった。そうしてその村は消えた。
 ある村の話。不吉とされる鬼火が出た。翌日、そこに村人が行って鬼火の下を掘り返したら、されこうべが出た。念入りに弔った。鬼火は消えた。翌月、廃村になった村と火事で焼けた村と泥棒に全部持っていかれた村の人々が山賊になって襲ってきた。村人は全員殺された。山賊は縛り首になった。
 ある乞食の話。彼は腕のよい大工だった。棟から落ちて、片腕と片足をなくして乞食になった。食い詰めてたどり着いた村で、飯を乞うたら断られた。次の村では、扉を閉められた。その次の村で、犬をけしかけられた。最後の村では、叩きのめされた。彼は死んで、されこうべになった。その翌月から、鬼火が灯った。

<2ちゃんにて批評依頼終了、批評者の皆様ありがとうございました。>

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://anovel.sakura.ne.jp/ANOEL/mt/mt-tb.cgi/154

コメントする

このブログ記事について

このページは、saharaが2012年4月30日 22:48に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「今日一日の予定」です。

次のブログ記事は「鬼火 改稿版」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。